レオナルド・ダ・ヴィンチの童話
高い岩山のてっぺんに、年をとった大わしが住んでいました。
自分の命も、もう長くはないと思った大わしは、子供達を集めて、こう言いました。
『わしはお前達を、小さい頃から太陽を見つめても平気な子に育ててきた。
わしは太陽から目をそらすような子には、エサをやらずに飢え死にさせた。
だからこそ、お前達は、鳥の中で一番空高く飛べるのだ。
お前達は尊敬される鳥なのだ。
その名に恥じない鳥になれ。
わしももう年だ。お前達とわかれる時が来たのだ。』
そう言って大わしは、空高く舞い上がりました。
大わしは太陽に向かって飛んでいく。
太陽の燃える火に羽を焼き尽くす。
そして、死ぬ。
大わしは、燃えながら高い空から落ちる。
水の中へ……
その水こそ、大わしの命の泉。
大わしは、命の水の中からよみがえる。
若いわしとなって生き返るのだ。
これが大わしの、定めなのです。