魂の起源

 

【転生についての一つの例】

南米に、レオナルドという男の人がいました。
家族は奥さんと五人の子供で、奥さんの名前はベリーナです。
子供の名前は、マルクリート、オディオン、ラリオン、レオンティーナです。もう一人の子供は、生まれてすぐ死にました。

レオナルドは、材木の工場で働いていました。その工場のボスは大変ケチでした。
九年も働いているのに、一銭も給料が上がりません。生活は、ますます苦しくなっていきました。

ある時、子供が木から落ちて、手を折りました。
しかし、病院に連れていく為のお金がありません。
その子供は、手を折ったまま、曲がらない状態になってしまいました。

そうこうしているうちに、奥さんが肺病になりました。奥さんは、羽根枕を作って売っていました。
けれども、その羽根枕は、彼女が肺病であるということで、売れなくなってしまいました。

 

レオナルドは、もうどうにもならない状態になってしまいました。
それで、今まで勇気が持てなくて言えなかったことを、ボスのカルロースに言いました。

勇気を出して、賃金を上げてくれるように頼んだのです。
答えは「ノー」でした。
しかし、その代わりに、「あなたが今辞めるのならば、退職金の二分の一を払おう」という話しが出ました。

奥さんの病気は、ますます悪化していきます。
レオナルドは仕方なく思い、その会社を辞めました。
そして、退職金の二分の一のお金をもらい、奥さんを病院に入れました。
しかし、奥さんは間もなく死んでしまいました。
会社を辞めてもらったお金は、お葬式と病院の費用に当てられ、すべてなくなってしまいました。

 

レオナルドは、大変な失意に落ちました。
毎日、酒びたりの生活になってしまったのです。
すべては、ボスであるカルロースが悪いと思いました。
子供たちはお腹をすかせて、あちこちで盗みを働いて暮らすようになりました。

 

ある日、彼の長男が、レオナルドの働いていた会社から機械を盗んで、売ろうとしました。
しかし、警察に見つかり、息子は逮捕されました。

 

息子が逮捕された時、レオナルドは、もはや我慢の限界まできていました。
カルロースを殺そうと思い、ナイフを持ってカルロースの家まで行きました。

しかし、レオナルドが行った時、カルロースは家にいませんでした。
レオナルドは酔っ払っていました。
ですから、やけになって、カルロースの家のドアを壊して、それで収まりました。

しかし、ドアを壊したということで、彼は警察に見つかり、留置所に入れられました。
また、カルロースは、息子の盗んだ機械は五十万ペソだったのを、嘘をついて、百万ペソだと言って請求しました。

 

レオナルドは、もう滅茶苦茶な人生に、考えることもできないほどの失意に落ちました。
彼は、もう我慢ができなくなって、今度留置所を出たら、必ずカルロースを殺してやると思いました。

 

翌朝警官が、レオナルドを留置所から出しに行った時、彼はベルトで首を吊って死んでいました。
自分には、どうしてもカルロースを殺すことができないと思い、自ら死を選びました。


ここまでが、今生での、目に見える次元でのお話しです。
この後が、目に見えない次元でのお話しになります。

【レオナルドの死後の話し】

 

レオナルドは、自分が死んだと思いました。
首を吊ったために、首の所が大変苦しく感じました。
しかし、自分は死んだのだから、痛くないはずだと思いました。
しかし、やはり痛いと感じました。
だから、自殺に失敗したのかもしれないと思いました。

 

そうすると次に、ものすごいスピードで、強い風が吹き込んできました。
何かに吊るされているようで、何回も何回も岩にぶつけられました。
肉体の骨と肉が、ボロボロに切り裂かれるようでした。

 

何回もぶつけられた後、今度は泥沼の中に落とされました。
泥沼の中に、息ができるか、できないかの所に沈められました。
レオナルドは、やっぱり自分は自殺に失敗したんだと思いました。

 

それは、大変な苦痛でした。
この中では、高笑いが聞こえ、下では、何かに吸われているような状態でした。
噛み付かれたり、引っ張られたり、大変な苦痛を味わわされました。
出たかと思うと、また壁に何回も何回も当てられました。

そんなことが、何年も続いたように思われました。

 

そんなある日、泥沼の中にいる時、目に見えない存在から、声がかかりました。

 

「レオナルド、祈りなさい。
あなたが一番最初に祈った時のように、祈りなさい。」

 

と、言うのです。
そこでレオナルドは、幼い頃、母親と行った教会で、はじめて祈ったことを思い出しました。
そして、その時のように祈りました。

すると、大きな手が自分をつかんだように思いました、
その後は、覚えていませんでした。

 

【レオナルドの前世の話し】

 

目が覚めた時は、丸太小屋の木のベッドの上に寝かされていました。
それは、とても居心地のよいベッドでした。
テーブルの上には、お茶とアーモンドが置かれていました。
大変お腹がすいていたので、そのお茶を飲んで、アーモンドも食べました。
すると、外から男の人が帰ってきました。大変大きな男の人でした。

 

「もう、大丈夫ですか。」

大きな男の人は、レオナルドに聞きました。
レオナルドは、

「あなたのお茶とアーモンドを勝手に頂いてすみませんでした。」と謝りました。

大きな男の人は、

「あなたを助けるには、大変苦労しました。
これから先は、私の役目ではないので、あなたの知っている人が迎えに来るでしょう。」と言いました。

 

レオナルドが外に出ると、彼の洗礼をしてくれたゴッドファーザー(教父)である、フェロニモという人が立っていました。

レオナルドは、「フェロニモという人は、自分が自殺に失敗する、ずいぶん前に死んだ人だ。」と思いました。

 

そこで彼は、教父に、

「フェロニモさん、どうしてあなたが生きているのですか。」と、聞きました。すると、
「レオナルド、あなたは自殺をして死んだのですよ。」という答えが返ってきました。

レオナルドは、「ああ、やっぱり自殺したんだ。」と、そこで自覚がもてました。
フェロニモについていた二人の人も、やはり見たことのある、だいぶん前に死んだ人でした。

 

レオナルドは、フェロニモに聞きました。

「どうして私は、こんな目に遭わなくてはいけなかったのでしょう。
生きている間、どうして働いても働いても、お金がもらえなかったんだろう。」

するとゴッドファーザーであるフェロニモが答えました。

「あなたは、前世はポルトガルのリスボンにいました。
大佐で、五人の部下を持っていました。名前は、モンターナでした。」

レオナルドは、自分の通ってきた前生なので、
「ああ思い出した、思い出した。だんだんわかってきた。」と言いました。

 

レオナルドは、自分の五人の子供が、リスボンにいた時の五人の部下だったことも思い出しました。
妻はカルメンといい、肺病で死んだ今生の妻でした。
会社のボスであるカルロースも、前生で自分の上司であった、エルニケという、政府の役人でした。

 

前生、モンターナであったレオナルドは、エルニケの下で働いていました。
エルニケは大変傲慢な人で、多くの民衆からお金を搾取しました。
レオナルドもそれを手伝い、多くの人からお金を取りました。
カルメンは大変贅沢な女性で、どこから集めてきたお金であろうと、構わず使いました。

フェロニモは、話をつけ加えました。

 

「あなたが働いても働いても、お金がもらえなかったのは、前生で多くの人から搾取したためです。
そのお金を、それらの人に返していたということです。

前生でもボスであったカルロースには、孫を含めて四十二人の子供がいました。
彼は、四十二人の子供たちに、すべてのお金を渡していました。
ということは、前生でエルニケであった時に、お金を搾取された人々が、四十二人の子供や孫だったのです。
ですから、前生でお金を取った人に、今生では、お金を返していくということになります。」

 

レオナルドは、次に聞きました。

「私は自殺をした後、どうしてすぐに楽にならなかったのだろう。」

そうすると、フェロニモは、

「あなたには、五十四歳の寿命がありました。
しかし、四十二歳で自殺してしまったので、十二年間、泥沼のようなところで暮らさなければならなかったのです。
その時は、誰も助けることができないのです。」と、答えました。

レオナルドは、「だから高笑いが聞こえたりしたのだ。」と納得しました。

 

自殺をする時、生命とは反対の、破壊的な成分が生じます。
その破壊的な成分は、洗浄しなければなりません。
泥沼にいた時に、このような成分を栄養としている低次元の存在が、下から吸い取っていたのです。

そして、祈りというのは、我々が

「万物が幸福でありますように」

と祈った時には、すべての存在に届きます。
祈りが届いた時、地獄で苦しんでいる人々が、一瞬、楽になり、ホッとひと息つけるのです。

我々一人一人が、大変なエネルギーを持っています。
そのエネルギーを、すべての平和のために向けた時、どんな力が発揮できると思いますか。
大変、素晴らしい力です。


【自分のまわりにあるもの すべてを進化のために向ける】

 

レオナルドのように、自殺をした時は次に肉体を与えられない場合が、多くあります。
しかし、レオナルドが前生を知っていて、どうしてこのようになるのかが判っていたならば、彼は自殺をしなかったでしょう。

ノーシスの講座の中で一番重要なことは、個人の進化にあります。
そして、ノーシスの知識をどのように生かすか、ということが問題になります。

まわりにあるすべてのものを、自分の進化のために向ける、というのがこの知識です。
我々は、一つのことで、討論をしようとは思いません。一つのことだけを、研究することもしません。

すべては、我々の進化のため、高次的存在になるために与えられたチャンスです。
そのチャンスを生かすための知識が、ノーシスです。

 

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