「神曲」はダンテのアストラル界旅行記

 

 

地獄について書かれた本に、ダンテの「神曲」がある。
この本に書かれている事は、全て本当の事だ。
ダンテはアストラル・トリップ(幽体離脱)が出来た素晴らしい芸術家だからだ。

 

「神曲」の中の地獄篇は、ダンテが地獄に行き、彼が師と仰ぐヴィルジリオという高次の霊の案内によって、地獄の各段階を見て歩くものだ。

彼は地獄の門に行き着く。
ここから地獄へ入るには川を渡らねばならない。
門を入った所には地獄の玄関があり、その周辺では群集が旗の後を追いかけて回っている。苦しそうである。

 

夥しい数のその群集は、天国にも地獄にも受け入れられないで苦しんでいる。
彼らは人生を傍観者として過ごした人々だ。
言わば、生きていなかった人々である。
ダンテの知り合いもそこにいる。

 

川の所まで来ると渡し守がいて、ダンテ達を渡す事は出来ないと拒む。
まだここに来るべきではないからだ。
しかしヴィルジリオの一喝にあって、渡し守は沈黙する。ヴィルジリオは高次の存在だからである。
そしてダンテ達を船に乗せ、向こう岸へ渡してくれる。

 

ここで注目して欲しいのは、地獄には高次の存在は入れるけれども、天国には悪魔は入れないという事だ。
そして悪魔達は高次の霊の命令にはそむけない。

だからもしあなたが、地獄に落ちるような事があった場合は、高次の存在に助けを求める事が出来る。
魂さえ悪魔に売り渡していなければ……だが。

 

ダンテはそれから、地獄の各段階を巡り歩く。
そして既に死んでしまった友人や知人に出会い、彼らの生き方と落ちた地獄の段階について考察する。
その人の生前の行いによって、地獄の何段目にいるかが決まっている。

 

そして七段目まで降りた時、樹に閉じ込められた自殺者の霊に出会う。

そこは深い森である。そして哀しげな声があちこちで聞こえる。しかし、その声を発する者の姿は見えない。

 

そこで師の勧めに従って、一つの樹の小枝を折ってみる。
するとどうだろう、折り口から血が噴き出て、その樹は哀しそうに叫んだのだ。

 

「なぜ私を害するのですか。あなたは哀れみの心を持ってないのですか。
私たちは今、樹に変えられていますが、もとは人間だったのです。
もっと慈悲を持ってください。例え私たちの魂が、蛇のようであったとしても。」

 

ダンテは思いがけないことだったので立ちすくんでいると、代わって師が、その樹に語りかけた。

「どうか赦して欲しい。
樹から血が噴出すことは、詩には語られているけれど、本当のこととは、彼には信じられなかったのだ。
私がそそのかした為に、今となっては、心の痛むことをさせてしまった。

けれども、あなたの素性をダンテに教えてやってはくれまいか。
彼はまた現世に戻るのだから、そこで多少の償いとして、あなたの傷つけられた名声を新たに取り戻すことができるかもしれないから。」

 

樹はその勧めに従って、自分の素性を語り始める。

 

 

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