生と死のミステリー

 

第三章 生まれ変わりとカルマ

 

無限のふところに抱かれた霊は、言語に絶する無数の存在、すなわち、天使、大天使、座天使、力天使、能天使などを見る。
その時、それらの神聖な存在とは、自分を完全にした人々であり、人生という学校において大きな苦しみを味わった人々であったのだということを、霊は理解する。

そしてまた、人生とは学校であるということも理解し、完全になるために、霊はその学校に戻りたいと願う。
人生という学校に戻って完全になりたいと思う時、この世に戻りたいと思う時、運命の天使たちが、その霊を新しい家庭に連れて行く。
運命の天使たちは、霊に協力する。
つまり、その霊を、父親の精子に結びつけるのである。

 

やがて生まれることになる霊は、精子を選び、この精子が受胎する。
霊は自分の新しい肉体を形成しながら、母親の子宮に九ヶ月間宿る。
といっても、霊は囚人ではない。
意のままに子宮や、自分の肉体を出たり入ったりすることができるからである。
九ヵ月後、霊は新しい赤ん坊の肉体をまとって生まれる。

 

もし前世で多くの悪事を働いたなら、次に生まれ変わる時、今度は自分が、その結果を刈り取って苦しみ、大変な不運を背負って生まれることに
なる。
商売の取引は失敗し、苦悩や貧困につきまとわれ、地獄の苦しみを味わう。
もし前世で他人の妻を連れ去ったなら、今生では自分の妻が連れ去られる。
もし悪い親だったなら、自分の子供たちとの接し方をよく知らなかったなら、今生では、胆汁よりも苦い身の上に生まれる運命にある。
前世でわが子を苦しめたのと同じように、今生での両親に苦しめられるだろう。

雷電の種を撒く者は、嵐を刈り取るより仕方がない。
とうもろこしの種を撒く者に、そのとうもろこしを食べさせよう。
人はそれぞれ、自分が撒いたものを刈り取るのである。
もし神が、何の善いこともしなかった者を、恵まれた環境に生まれさせ、何の悪いこともしなかった霊を、みじめで不幸な環境に生まれさせるなら、
神の正義は、一体どこにあるのだろうか。

 

無数の人生の中で完全になろうと戦ってきたからこそ、天才はなるべくして天才になるのである。
今の我々は、前世の無数の生まれ変わりの結果である。
あなたがたの量るそのはかりで、自分も量られるであろう。
四十二人の「カルマをつかさどるマスター」がいる。
「カルマ」とは、償いと報いの法である。

生まれ変わるたびに、我々は少しずつ完全になる。
我々はこの世に、何度も何度もやって来た。
そして完全になるまで、この世に戻り続けることが、我々の運命なのである。

 

前世を思い出すための、一つの方法がある。それは、回想エクササイズである。
学徒は毎晩、寝床に横になり、それから回想エクササイズを行う。

まず床につく一時間前、二時間前、さらに午後、午前、その日の刻一刻に起こったすべてを思い出すことから始める。

次に、昨日のことすべて、一昨日のことすべてを思い出す努力をする。
さらに今月起こったすべて、二ヶ月前、三ヶ月前、一年前、十年前、二十年前に起こったことすべてを思い出そうとしなければならない。
そしてついには、全生涯を隅々まで思い出すのである。

学徒は、人生の最初の五年間を思い出すために、最善を尽くさなければならない。
これは極めて困難である事に気づくだろう。
この五年間を思い出すのは至難の業であるが、思い出すための一つの秘訣がある。

 

心の中で次のマントラ(力の言葉)「ラーオム・ガーオム」を唱えながら、眠りに落ちるのである。

すなわち、この二つの言葉を心の中で唱えながら、人生の最初のごねんかん、幼年時代に起こった出来事のすべてを、夢の中で思い出そうと
しながら、眠りに落ちるのである。

夢は真実である。学徒は聖書を開き、「ダニエル書」を研究し学ぶとよい。

 

この世に生れてからのことすべてを思い出したら、次に一つ前の生まれ変わりの最後の瞬間を、何とか思い出そうとしなければならない。
もし、このように実践している間に、スヤスヤと眠り込むことに成功するなら、やがて夢の中で、一つ前の前世のすべてを思い出すことができる
だろう。

この秘訣で、学徒の誰もが、一つ前の前世を思い出すことが出来るだけでなく、それ以前のすべての前世をも思い出すことができるのである。

必要なのは、成功するまで毎晩実践することであり、強い信念を持つことである。

 

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