第二章 肉体から離脱した霊の変化

 

死者の霊は、月、水星、金星、太陽、火星、木星、土星の各領域を通過しなければならない。
これらの惑星は、それぞれ「星(アストラル)の霊気(オーラ)」に包まれている。

 

星(アストラル)の霊気は混じり合うことなく、それぞれが、互いに浸透し、交差している。
これらすべての霊気は、我々が呼吸する大気と関係している。

 

【月】

霊が月の領域に入ると、肉体の埋められた場所に強く引かれるのを感じる。
そして、まるで生身の体があるように、振舞おうとする。
このような霊は、自宅で腰をかけて食事をし、生きていた時と同じ、生理的欲求を感じる。

 

【水星】

霊が水星の霊気に入ると、霊気がますます澄んでいくのがわかり、すべてのものが、以前よりずっと美しく見える。

生きていた時に、どのような生活環境にも順応できなかった霊は、その時、言い知れぬ苦しみを味わう。
自惚れと傲慢に満ちた霊は、昔のように財産と家柄ゆえに、皆に尊敬されたいと思って苦しむ。

しかし、水星の領域では、霊は高徳と知恵によってのみ尊敬される。

生きていた時に謙虚であり、敬虔で慈悲深かった霊は、ここで幸せを感じる。

 

【金星】

その後、霊は金星の領域に入る。

この領域内では、霊は再び幼い子供のようになり、自然のふところに抱かれて遊びながら、幼い子供のように物事を楽しむ。

金星の領域において、我々は再び、大変宗教的になり、世界中のすべての宗教は、「神性という金の糸」でつなぎ合わされた真珠であるということを理解する。
ここで我々は再び神秘的になり、自然の山々や、森の中に喜びを見出す。我々は幸福である。

どのような宗教もまったく信じなかった霊、すなわち唯物主義者であった霊は、なじみのない中庭にいる鶏のように、ここでは場違いの感じを持つ。
その為に、言いようのないほど苦しむ。

宗教的なことに夢中で狂信的だった霊は、自分の悪い行い大変深く後悔する。
なぜなら、自分が他人に与えた害悪を理解するからである。その霊は、言葉で言えないほど苦しむ。

その後しばらくして、霊は太陽の霊気に入る。

 

【太陽】

この霊気において、生命は一つであることを理解する。
すなわち、心臓の中で鼓動している生命は、各世界の、まさに心臓の中で鼓動している生命と同じであり、そのことを、宇宙全体を通じて思い出してゆくのである。
太陽の領域では、そのようなことを、我々は理解する。

ここにおいて、「宇宙友愛結社(白ロッジ・宇宙同胞団)」とは何かを理解し、人類はたった一つの大家族であると感じる。

利己的だった霊は、ここでは深い後悔と、すさまじい霊的苦痛を味わう。
これらの霊は、自分の悪い行いを深く後悔して苦しむ。

太陽の領域で、我々はすべての顔ぶれに、兄弟姉妹を見出す。

 

【火星】

その後、霊は火星の領域に入る。

この領域では、物質界の物事から、永遠につながりを断ちたいと感じる。
そして、神秘的で大きな喜びのうちに暮らし、アシジの聖フランチェスコや、仏陀の強い影響を感じる。

ここでは、一輪の花の生命は、我々自身の生命であるとも感じる。
それから、永遠に物質界から身を引きたいと願う。

 

【木星】

その後、霊は木星の領域に入る。

この領域では、地上で信仰した宗教は、我々が卒業しなければならない、一つの学校にすぎなかったのだと理解する。

ここで地上的な宗教を捨て去り、それから「宇宙意識」に入る。

 

【土星】

このような暮らしの中で霊は、ずっと後に土星の領域に沈んでゆき、それから宇宙の全ての星々の間を、喜びに満ちて漂う。

霊は、はるかなる世界を訪れ、言葉にできないほど素晴らしい音楽、歓喜溢れるオーケストラの奏でられる無限の中に沈んでゆく。
そのオーケストラは、永遠のはかり知れない賛美歌(コラール)の中に響き渡り、ただ果てしない、宇宙の本当の幸福だけが、無限を支配する。

 

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