耳の聞こえないベートーベンは天の音楽を聞いていた

 

 

ベートーベンは生涯、結婚する事がなかった。
前世から引き継いできた多くの汚れを洗浄しなければならず、彼はそれを自覚していたからだ。

 

だから若い頃から、この世の楽しみは自分とは関係がない事を知っていた。
人生の目的を見定めていたからである。
それは
15歳の時に書いたという、次の言葉からも知る事ができる。

 

「死ぬ事を知らない人間の中に、尊さは無い。」

という言葉である。

 

この「死」は、肉体的な死と同時に、神秘的な死をも指している。
神秘的な死とは、欲望を根こそぎ退治してしまう事だ。

彼は15歳の時に、自分の魂を縛るエゴの存在に気づいており、それをやっつける為のワークを始めていた。

彼は肉体があるうちにエゴを根絶しなければならない事を、はっきりと知っていた。
そして勇敢に戦って勝利を収めた。

 

だからベートーベンの音楽は、私達がエゴをやっつける為の戦いを行う時、大変勇気を与えてくれる。
自分の悪癖を正そうと努力しながらも時折挫けてしまう時、
ベートーベンの音楽は、もう一度立ち直る為の気力を蘇らせてくれるのだ。

 

ベートーベンは耳が聞こえなくなっても作曲していた。
なぜそんな事ができたのだろうか。
音の記憶に基づいて作曲したのでは、とてもあれほどの曲はできまい。
なぜだろう。

 

理由は簡単だ。
彼は音楽を聴いていたのである。
どこの音楽か。
天上の音楽である。
アストラル・トリップ(幽体離脱)すれば、肉体には拘束されない。
肉体の耳が聞こえなくても、四次元での音楽は聞こえるのである。
彼はその音楽を譜面に写したのだ。

 

だからこそ、ベートーベンの音楽はあれほど素晴らしく、また一つ一つのシンフォニーがユニバーサルなメッセージを持っているのである。

 

音楽はそのバイブレーションによって、特定の色と光、そして香りまでも発散させる。
また、味も持っている。

 

高次音楽のそれは素晴らしいもので、私達の進化を助けるパワーを持っている。

 

反対に低次音楽の場合は、私達をメランコリックにさせたり、妙に自分を甘やかして感傷的な涙を誘ったり、逆に情欲的にさせたりする。


ベートーベンの音楽が発するバイブレーションは、大変素晴らしいものである。

 

例えば、「月光」という曲が演奏されると、銀色のバイブレーションが発されて、一面を包む。
銀色という色は、まさしく月のバイブレーションの色だからだ。

 

また「英雄」というシンフォニーは、赤い色を発している。
この曲はナポレオンに捧げるために作曲されたものだ。

 

ナポレオンは精神的進化がかなり進んだ人物であったし、イニシエイト(霊的奥義参入者)に近い段階まで上昇していたからである。

しかしナポレオンは、途中で転落した。
人類の為に献身する代わりに、虚栄心に負けてしまったからである。
彼が皇帝としての王冠を受け、権力の座についた時、進化は終わり、退化が始まった。

 

高い段階にまで昇りつめた人ほど、受ける誘惑も魅力的なものだし、またそれに負けた時、転落する段階も低次のものとなる。

 

ベートーベンは、ナポレオンが王冠を受けた事を知った時、「英雄」という曲の解説書が書かれた楽譜の表紙から、彼の名前を消してしまった。
そして、ナポレオンも普通の人物と同じだ、と言い捨てたのだ。

 

その瞬間から、ナポレオンの下降が始まった。
彼のパワーは無くなり、セント・ヘレナ島へ送られた。
そこで彼は毒殺されたと言われている。
虚栄のエゴに命を与えてしまった為、進化は一挙に退化へと変じたのである。

 

イニシエイト・ベートーベンが肉体をあとにした情景は、大変象徴的なものだ。
自然界が、この宇宙的な出来事を、嵐として表現した。
すなわち、ベートーベンが死の床についている時、外は嵐が吹きすさんでおり、彼が息を引き取った瞬間に雷が落ちた。

 

ベートーベンの魂は、その後高次へと昇っていった。
そして高次の世界での音楽のコロニーに入っていった。
そこには音楽的に洗練された霊ばかりが集まっており、「エメラルドの館」と呼ばれている。
彼はこの館の門番としての役割を与えられ、今でもイニシエイトとして、私達を援助する為に、そこに存在しているのである。

 

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